魯文の報条(三)
高 木   元 

十九世紀末を生きた戯作者である仮名垣魯文は、その売文の所産として無数の片々たる紙片を遺した。具体的には、錦絵の填詞や報条引札などである。此等は文学的営為の所産とは見做されず、従来の文学史では決して顧みられることはなかった。しかし、報条や填詞などには、戯作者たる魯文の感性が横溢する戯文が駆使されており、十九世紀末の戯作者達の足跡を明らかにするためには、必要不可欠な資料群だと思われる。此等の片々たる魯文の資料群を、可能な限り蒐集して検証しておくことも、あながち無意味ではあるまい。

そこで、今回は国立国会図書館が所蔵する貼込帖に遺された魯文の書いた報条を紹介したい。

 「広告研究資料」三編六冊〔初編〕巻一〜四、続編、三編 三三×四八糎(寄別三―五―一―四)
     国立国会図書館デジタルコレクション(館内公開)(580934)

 「明治時代広告研究資料」〔一編〕一冊 三三×四八糎(寄別三―五―一―二)
     国立国会図書館デジタルコレクション(館内公開)(580935)

【三三】(製版、色摺 16.8×46糎)

  ろう

釋尊しやくそんいんにぎやつと降誕うまれ天上てんじやう天下てんかゆびさし給へバ。時鳥ほとゝぎすくも〓翔かけり初鰹はつかつを大路おほぢ奔走はしるかきうのはなさきしより。あを やましみて。 なつにけらし白妙しろたえの。ころもかは陽季やうきはかり。臼冬きうとうらい取立とりたての。 おんれいがてら欲心よくしんはんぶん。しんせい數品しな%\ ふうこらし。よろづの事の うつりゆく。流行りうかう人氣じんきかんがみて。風味ふうみ倍増ます/\吟味ぎんみくわへ。價直ねだん格別かくべつ 相はたらき。また新更あらためての賣出うりだしハ。四方よも花主とくひ贔屓ひきふだに。かげあほさいろう事々こと%\しくハ候えども。ひさげものにハたれかれも。かざことはなだう灌佛くわんぶつころ活業なりはひも。甘茶あまちやちなみのあるものから。 悉達しつだぶりなる声色こはいろを。つかふてゆい獨尊どくそんと。自讃てんぐをいふも鳴呼おこ なれバ。召上めしあがられて四維しい上下しやうげの。差別けじめわかちたまはれかし。さりとて 郭公くわくこう松魚しやうぎよひとしく。てつへんかけハさら/\まうさず。たゞ商賣しやうばい正路しやうろまもり。めい雲井くもゐにあぐるまで。このすゑながく御取立とりたてたう主人あるじ形代なりかはりて。ふたゝ此條こゝねがもの

馴染なじみさくしや   鈍亭魯文 伏禀[文]
新製
 御菓子類数品  御口取物御折詰等
 御練羊羹類数品  奇麗仕立奉差上候
 極製御蒸菓子類  十〆付 壱匁五分\ 同 壱匁\同 五分
 ○御茶席御蒸菓子類 數品
 ●隅田川都鳥 十〆ニ付八十文
 ●三色飴窓の月 五分
 ●上製麦らくがん 四十文
 ●新製はま千鳥 二十文
 ●極製ちどり煎餅 二十文
 ●豆落雁福は内 二十文
 ●有平巻せんべい 二十文
 ●風流八千代煎餅 十文
 右之外御包菓子あられ更紗せんへいおこし類
 風味相改格別下直奉差上候以上
下谷廣徳寺前稲荷町 雷神門出店\船橋屋攝津大掾
四月十四日賣出し\當日麁景奉差上候                                       藤原織江

【三四】(活版 15.6×21糎 飾枠 字間二分アキ)

  ごひ らう

そん資本もとでとして永遠えいえんはかものしやう げふつねながらそのかせぎの小商こあきなひにハつぎ資本もとで智惠ちゑしぼしたるはらふくろそこはらひて營業なりはひ ふうしんはつめいならずおくちなれしあなごの蒲焼かばやきさ れどもこのうほふうといつぱかのはまがは いさりにありかつやき かたせいよりむるの調製ちやうせいある好食かうしよくより つたほんうほ不漁しけおりハ一せつひんらぬ ときわ魚類ぎよるゐいちほどちか土地とちがらだけにえらみにえらまへ(ママ)味噌みそからすぎあまからぬやう中庸なかずみ素地きぢ正銘しやうめい濱川はまがはあなごをかめ○○○てもいろひかやきかたしほ げんあふあはされ開業かいげふよりありやりやんりうとうえいたう來臨らいりん希望こひねがふ

主個あるじかはりて  妙々道人述(呂文)

  一 あなご蒲焼

  一 同どんぶり

 六月二日開業  

日本橋區通四丁目四番地\小 林 

【三五】(活版 19.9×24.2糎 飾枠草色刷 字間二分アキ)

 正 眞しやうじん 正 銘しやうめい とう けい かい だい そう

                  禀 告

 しな のゝ こく さん しん てん かい げふ ひき ふだ

あるひとよりもらひ。このおのじゆ やしなふ。つぎなし かならずしも。まゝこ○○○にせじと贈 答いひおくりしハ。はうむくしんしやげん。その出 生しゆつしやう信濃しなのさんぶつふうこくるゐなきを。 めんぼういたべなバ。ながけんかぞへもつきず。やぶはらかぜそよぐ。かをりハうちおときこえ。 こまかくいはでたるゐ さとと。いもつながずぎりく。 みぢかきざみてかまあげの。にえかは宿湯しゆくゆ げんと。げんあまたび こゝろみ。たうひらしんそ ば みせゆきの ふるさととほくてちかき。しやべんうまに。かえつみの十 こく たふげざめさと東雲しのゝめより。かのかけはしけんなく。はこびハやす あたひすれど。ふうみ たかかざこしの。みねあさま たけくらべ。このあさ くさこうゑんに。 いとなたてかやのきかけあん どうおん じるしに。かいげふたう じつより。四のながめのはなや しきご うんどうみ あし ついで々々 /\  つゞいてご らいりんを。ほそなが希 望こひねがふと。主個あるじもとめに。がき のね かよ

假名垣魯文戯述(呂文)

 ○ね ざめそ ば  ○うきね そば ○さくらまき

 ○う はながき ○や へ やまぶき ○きんぷらそ ば 

 ○ふ じ ゑ がほ ○り きう(ママ)そば ○た き いと

 このほか鶏卵たまごやきあぶの り にて猪口ち よ くと一さん

淺草公園花やしき向\信濃出店 寢 覺 庵  
   來二月十一日\開業三日間麁景呈進

【三六】(活版 17.4×24.7糎 飾枠 字間二分アキ)

  ●しんてんかいげふ
たんぱくあぢかうふくみ。うちたてかまあげゆ か げんに。すきしやはら穿うがものそ ば ふうみ しくべからず。はるはなまきくちかるく。とりわけなつひやそ ば あきつゆものふゆのあつもの。四き て うちのをり/\に。上戸 じやうご下戸げ こ とのなかず しんてんしげま こもち かへて。あらたにひらくあやめ ちやうに。ひ しよかた %\のせいふうてい主個あるじ ぐみせうばうに。頭 立かしらだちたる侠客きをひ はだそとうちとの二にんまへて あしほん非 常ひ じやう勉 強べんきやうたこぜんいふあざなそのまゝあきうどかたとなりはひの。みちふみしむ勉 強べんきやうしんながつゞくのえんぎ  いはひをかけるとハで まへさいさきひきこしそ ばのはじめより。みそか そ ば  をはりまで。で いりひまなくぞ ろ /\ /\と。ご らいりんねがよし主個あるじかはりて

とうけいゑ いりしんぶんの\ かながきのどうさう(呂文)

  八 月 三 日 開 店
日本橋區中州あやめ町\清 風 亭 

【三七】(活版 20.4×25.8糎 飾枠草色刷 字間二分アキ)
  改良御菓子御披露

甘泉かんせん滾々こん/\として靈亀れいき そのみづいさぎよきにあそぶといふ亀屋泉かめやいづみ菓子くわし みせ當所とうしよひさしき老舗しにせ なるもいわおこしの幾代いくよ かはらず田舎いなか おこしのへきせいなるハ開化かいくわ風味ふうみ 當時たうじ そむけバよ ふうてう したがひて万年まんねんせいふるきを さしおすべ品物しなものさい改良 かいりやうなし下戸げ こ さまがたもちろんにて上戸じやうごのおくちかなやう甘味あまみ 塩氣しほけ まぜ加減か げん砂糖さ とうゆきしたと 腹部ふくぶ いり消化 しやうくわ みちび留飲りういんなどさまたげなくもち菓子ぐわし ひ 菓子ぐわし わかち ハあれど清風せいふう一味いちみ 調製ちやせうい(ママ)はうまけ ゑ營業いぎやう じやう折詰をりづめ折目をりめ たゞしく笹折さゝをりのさゝやかなるも風味ふうみ かへ抹茶まつちや煎茶せんちや點心てんしんにハ形象かたち 風雅ふうが かたつくし四き 折節をりふし新製しんせいにも高味かうみ ひく あたひし 十露盤そ ろ ばんづくに關係 くわんけいなくかずでこなすを緊要きんやう精々せい%\盡力はたらきさしまをせバ暖簾の れんふる万代ばんだい亀屋泉かめやいづみ流絶 ながれたえせず新製しんせい改良品 かいりやうひんお 試味こゝろみうへ滔々とう/\おん購求もとめ 奉願上候と句切く ぎり老實まじめ 

魯文叟述(呂文)  
日本橋通旅籠町九番地\大丸向\龜屋和泉拜

【三八】(製版 21.9×31.8糎)

〈新古|器財〉書畫展觀珍物會 三月廿四日

右は晴雨共於浅草御馬屋かし昇月樓相催候間當日珎物るゐ 虚実拘らす御持寄御光臨奉希候諸品摸写縮図上木の上追 配冊呈進仕候

   席上諸先生拝毫

會主 假名垣魯文謹白 

會幹 〈爲永春水\竹柴濤治\式亭小三馬\竹柴金作\岳亭定岡\勝 諺蔵\万亭應賀\櫻田治助|並木五柳\錦亭綾道\松島鶴次\菊葉露香\竹柴重三\琴亭文彦\九字薪作\樂亭西馬〉

大補 〈錦朝樓芳乕\梅蝶樓國貞\一圓齋國麿\一壽齋芳員\一曜齋國輝\一教齋芳満\一鴬齋國周\喜齋立祥|一梅齋芳春\一魁齋芳年\一葉齋芳貞\一光齋芳盛\一藝齋芳富\一侠齋芳延\一瓢齋房種\一立齋廣重〉

【三九】(活版 18.5×24.5糎 飾枠 字間ベタ)
  書畫會筵 〈明治十三年三月七日|本日諸先生席上揮毫〉

於柳橋万八樓不論晴雨相催候間御來\臨是祈

會主 姫島竹外再拜

竹外居士遠郷ヨリタリ府\下知巳人少ナキヲ吾\儕代諸君光臨

成島柳北\假名垣魯文

筆賢ひつけんこと/\いた墨 長ぼくちやうこと%\あつまるハ通常書畫會筵つうじやうしよぐわくわいえんならひにして我國わがくにまた義之ぎ し 淵明ゑんめい徒尠とすくなからず一ひつしやくえいぱいまたもついうしん じやうのべとも たのしむにた るがなかわがともふく りやう竹外先生明治ちくぐわいせんせいめいぢ十三ねんちう しゆん初武総はじめぶさう西陲せいすゐまんろう雅友が いう くわいひと文人ぶんじん墨客ぼくかくのみならずさきのひ先生せんせい新富しんとみげき ぢやうたいしよせし絲竹し ちく歌日うたひ め これれつせばあほひで來賓らいひんおほきをみ ふし別嬪べつひんさかんなるをさつめ あそばしめおもひをは する たのしみをきはむるのひ ちかきにあり自他じ た  まこと たのしみをあはすやひつせり嗚呼あ ゝ  たのしい哉

猫々道人記 

補助 新橋藝妓連\柳橋藝妓連\日本橋藝妓連\葭町藝妓連\新富町藝妓連\新吉原總連\○ 新橋濱廼屋\救合社中\○ 横濱文人社中\同港商會\蠣殻兜米商社會\新富座劇塲社會\書畫盆栽家\魚がし連\しんば連\○ 劇塲見連\六二見升連\見物猫々連\○ 松林伯圓社中\田邊南龍社中\放牛桃林社中\○ 三遊亭連中\落語むつみ連\朝野新聞社中\風雅新誌社中\假名讀新聞社中\いろは新聞社中\諸新聞投書連

侍史 田川一枝女\福島疎影女\富田瓊姿女\根岸南枝女\安中黙\扇面亭

【四〇】(活版 14.3×21.4糎 飾枠 字間二分アキ)

諸藝しよげい各品かくひん來客らいかく繁業はんげふ遊覧會いうらんくわい告條こうでう

にぎやかなあと祭禮まつり見物けんぶつあきた らぬゐ かんおぎな感能かんのうあとまひものた らぬ串戯おとけふり つたなくとも笑味をかしみありされバ内国ないこく勸業くわんげふ博覽はくらんくわいわがくにみ ぞ う び きよにして公園こうゑんひろあつこのうへうへなくこのしたしたなしりうもん不忍しのばづいけよりのぼ鳳紋ほうもん鐘樓しゆろうあとま くわもん さくらだい爛漫らんまんたる賞牌しやうはい人々ひと/\たちさき閉塲へいぢやう餘波なごりにとてこ たび風車ふうしやゐ な むらてい出品しゆつぴん本館ほんくわんかりまうけ一の遊覽いうらんくわいひらかんとすその來客らいかく出品しゆつぴん種類しゆるゐ博物はくぶつ大業おほげふならずこ こう じゆつの一ば ちゞしんこ 玩弄物てあそび書畫しよぐわちんき ざつざ つき陳列ちんれつ最初はじめかいくわん新聞しんぶん出刷すりたててつしやそなき しやえんぴつそくはう したが瞬間しゆんかんぶんな 活版くわつぱんざい便べんり し らしめあるひハ美術びじゆつぎ げいきこえしぶ たう音曲おんぎよく講談かうだんらくわ しよりうは わかしよげいたうをなし一ざ 混合ふきよせ興行こうぎやう まつた勸業くわんけふよ ち にしてさき所謂いはゆるあと まつり博覽會はくらんくわいな ごりえんにて かなら遊惰なまけ媒酌なかだちならずとくわい しゆかはりて出雲町いづもちやうげつか 老人らうじんしるす

假名垣魯文述 

  明治十一

催主  繁業遊覧會舎 

 當二月十七日於淺草須賀町井生村樓不論晴雨相催候間乞御來車

   〈詩歌 俳諧 狂歌 川柳|琴碁 書畫 插花 煎茶〉 本日出席諸先生方揮毫

【四一】(製版 18.6×26.3糎 巻子体の意匠)
菅野順講 三月廿八日

漢語かんご 幇間はうかん浪華かみがたにて弁慶べんけいよぶ太鼓たいこ もち義經よしつね殿どの武藏むさし ばう秀句しうく 語呂ごろのがれぬ主従しう%\いへ歌舞伎かぶきの十八ばん名弘なびろ くわい順當じゆんたうたびころもくるわかへ新参しんざん再勤さいきんせしがそれつら/\おもん見れば大盡だいじん僑奢けうしやのおしきに忠次ちうじ長座ちやうざかへつけうあきつきあかれぬうちとにせ山伏やまぶしおひならでになることをいとふよりやきまはらぬ仕度じたく勸進くわんじんかなめ大門おほもん安宅あたか せきとほぬけ日本堤にほんづゝみ山谷さんや くだ金剛こんがうづえ竹屋たけや たのみお馴染なじみ さまを呼子よぶこどりこずゑ乗込のりこ 入舩いりふね待乳まつち の山と\ホヽよくばつまう

催主にかはりて 假名垣魯文述 ◇ 
 會主                  菅野忠次郎

   山谷堀竹屋において晴雨とも相催候間\御賑々敷御來駕奉希上候

【四二】(活版 22.1×19.0糎 飾枠 字間四分アキ)

     〈廣造ひろづくり高階たかにかい廉價貸席開業報告やすね かしせきかいげふごひらう

猫々道人  假 名 垣 魯 文 代述 

しん島原しまばら遊廓くるわつゞ新富町しんとみちやう數街ちまたひらけそめ以来このかた近源亭きんげんてい今般このたび商業しやうばい都合つ がふよ 流行りうかうしたが今般このたび專門せんもん料理りやうりをやめさいはかんしよともに空氣くうき 流通りうつうよろしき坐敷ざ しき數席す せき庭園ていゑんす つぼあるをまたそうとりつくろ至極し ごく廉價ね やす貸席かしせき改業かいぎやうせりもつと食類しよくるゐ諸客みなさま御隨ご ずゐい おうじてそなへたてまつる塲合ば あひもあらんか おのれ當主たうしゆとは舊友きういう縁故ちなみありしかば時々とき%\め ふれ實地じつち 景况ありさまつくらずかざらずありまゝ順序じゆんじよしる當家たうけ 毎席ざしき/\の大小ま ごと案内あ ないしやかはりて報條ひきふだ文面ぶんめんしるものは三十よ ねん斷金だんきんならぬ池水いけみづ交友ともたちにちなみてなり

まづその口元くちもとより御覽ご らんあれ

  ●階下したざしきすべて一百二十五疊おの/\とこま ちがたなつきこれを仕切し きりま ごと/\に區別く べつすればさ ごと

○第一 八でうじきならびにつぎま 四疊半一間ひとま つき

○第二 拾四でうじきたゞとこま つきま 

○第三 八疊じきならびにつぎま 四疊二疊二

○第四 拾疊敷たゞとこま つきたゞつぎの間五でう

○第五 四拾疊じきま たゞとこま ちが棚附たなつき

○第六 貳拾八疊一間ひとま とこま ちが棚附たなつき

  すべ疊數たゝみかず一百二拾五 ○ ○ ○ ○ ○ 疊しかのみならず東南とうなんかた大廣園ひろに は には大小燈籠とうらう奇石き せき珍樹ちんじゆ植込うえごみあり

 ●樓上にかい坐敷ざ しきぶ 

○第一 拾五疊ならびにつぎま 三疊たゞとこま ちがたな扁額かけがくならびに將棊しやうぎばんそなへあり

○第二 拾貳でうつぎの間三疊貳疊おの/\仕切し きり

○第三 拾貳でう仝次の間四疊貳疊附

○第四 八でうつぎの間四疊敷おの/\廊下らうか つきこの樓上に かいま ごとあはせ六十五疊その他なつふゆ建具たてもの屏風べうぶ す さうかつ二枚折小屏こ べういづれも名家めいか 繪畫くわいぐわ

かゝ廣間ひろま まをけあればしよ銀行ぎんかうしよ會社くわいしやおほ集會しふくわい文人ぶんじん墨客ぼくかく書畫しよぐわ會筵くわいえんしよ藝人げいにんがたのおさらひとうにもいさゝおん差支さしつかへあるまじくたゞし御割烹りやうり辨當べんたう上中じやうちうのおこのみにしたが近隣ちかま諸店しよてんよりなにしななりとも取寄とりよ 席料せきりやう多寡た くわ疊數たゝみかずしたが至極し ごく廉價やすね もつ餘計よ けいご さんざいいさゝかもかゝらぬをむねとするが今般こんぱん趣意しゆい なればまづ一度ひとたびご 運動うんどうくだされ正銘しやうめい正實せいじつせきがしとおぼしされなば永久えいきう陸續ひきつゞき光來くわうらいをこひねがあげたてまつると女主あるじ 告條こうじやうふでいはせて告白つげまを

 魯文ろ ぶんつけまを近源亭きんげんてい貸席かしせき開業かいげふより三日間みつか かん同家どうけ 別席べつせきおいしよざう古物こ ぶつ品三百よ ひん縱覽じうらんそな

  明治二十五年\九月四日開業

東京々橋區新富町一丁目\近源亭 和田登久 敬拜 


【四三】(製版 18.5×16.8糎 色刷枠)

     劇塲しばゐ茶屋ちやや 開業かいげふ御披露ご ひ ろう

常磐ときは 垣磐かきは いやしげる。歌舞伎かぶきさか久松座ひさまつざ。「多見たみ」のかまどにぎはちまた。「助高すけたかどのいらかならべ。「翫雀くわんすゞめ」のむれつどふ。この新築しんちく三芳屋み よしや と。「ひやうばん音羽屋おとは や の。うわさきくのよい辻占つぢうらかゝ吉例ためし中村なかむらと。ご ひゐき さま當座たうざ 目的め あてに。今回こたび開業かいげふ初日しよにちぶれ。はや開塲はじまり近接ちかづきたれば。ふた開日あくひ まついろ幾久いくひさしくもおんいりを。八重やえ扇子あふぎ かなめねがふ。主個あるじかはりて。おくに歌舞かぶ出雲町いづも ちやう。かなよみの猫々めう/\だうじん つゝし しるすとまを

浪花橋際角久松町四十番地      
  久松座茶屋  八重扇子屋とら 

【四四】(製版 19.5×26.5糎 下部水色地、浅緑で背景に竹を描く)

  待合まちあひおん案内しるべ

駕籠かご新道しんみちふるとなへを。人力車じんりきしや今様いまやう乗替のりかへしげちまた往來ゆきゝはなすこしく市中しちうかんしむれど。酒屋さかやへ三豆腐とうふやへ。二里ほどいふ僻郷かたざとならず。千歳ちとせ幕開まくあきを。鳴物なりものおとり。哥澤うたさわぶしいき調子てうしは。ながらに自由じゆう街巷ちまた此所こゝすみよしのまつちなみ。あし假寐かりね旅泊とまりはばかり。浪花なには地名ちめい假初かりそめに。此花このはなくみありふれし待合まちあい渡世とせいむかしそでうつは。女主あるじ手馴てなれきやく待遇あしらい。お知己なじみさまおん引立ひきたてにて。ほそながれちやみづも。梵字ぼんじたきふとながく。追々おい/\老舗しにせ成田なりたと。ねがひのいと引續ひきつゞく。贔屓ひいきがた加護かご新道しんみち大小だいせう不同ふどう差別けぢめなく。御請待しやうだい申し上れバ。出開帳でかいてうめく開業かいげふより。昼夜ちうやをかけての御來車らいしやを。何卒どうぞ諸彦みなさまキツトですと女主あるじ句調くてうふでうつして一寸ちよつと坐附ざつき口上かうじやうのぶ

假名垣魯文戯述◇ 
日本橋区浪花町\二十三ばん地\よし町いの助事    
登代 
當る\十月二日開業

【四五】(活版 16×20糎 飾枠 字間全角アキ)

    おん待合まちあひ披露ひろう

うすごほりがらす しやう鉢植はちうゑうめかをつり玻璃燈らんぷ反射はんしや庭前にわさきやみてら案内しるべ いし飛々とび/\しばとびら訪問おとづれたまふ前々まへ/\ご 愛顧ひゐき よりひきつゞきてのはんじやうまつたうるほひとぢやうれんのおん引立ひきたて客歳こぞよりことしへかけ行燈あんどうひかたえせぬえにしをつなたびめいをそのまゝゆずりしげりにあらためて開業かいげふいたせバ年越としこしおくれハすれどお馴染なじみさまハにはそとよりふくうちかとまめ/\しくおん立寄たちよりひとへいのりまゐらせ候ひゝらきたくかしく

主個あるじかはりて  猫々道人述  
蠣〓町二丁目四番地    
愛森亭 婦久 
  二月十二日開店

【四六】(製版 22.4×29糎 三升枠、背景地は黄櫨染刷)

      〈どくけしこく たん

ひとやまひうつわにして健康すこやかなるもまた小患せうくはんなきあたはず就中なかんづくことはい二箇ふたつにありてそのらさんことかんやう國主こくしゆにもまつた掃除さうぢよするのじゆつかたしとすべしそも/\黒牡丹こくぼたん煉薬ねりやく俳優はいゆうへききこえし堀越ほりこし団洲だんしうもんなるがるひと市川瓢蔵へうぞう故里こりにありしその家祖かそより相傳さうでんする處のやくにして第一つねふくするときすこやかにし諸毒しよどくすべて 流行りうかうびやうときもちひバたとへがいひやうしやしつおなじふするといへどけつして感染かんせんすることなきハ製主せいしゆちかつしやうするところ かゝ良方りやうはうをしてむなしく行李かうり おさめんこそいとほしとて友人いうじん塩原しほはらげんしやう授方じゆはうせりよつ塩原しほばらくわん允許いんきよ公賣かうばいゑきをはかるものけだ世利せいりはしらんとするにあらずして衆庶ひと%\衛生ゑいせいじやう利益り ゑきあらしめんとの素志そしいでたり瓢蔵へうざうせい団洲だんしうきよう堀越ほりこしこゝろみてその効験かうけんめうかん余輩よはいとも賛成さんせいへうせり。諸君しよくん一度ひとたびもち二度ふたゝひふくするのようをなしたまはんことぼう

角文字の いたつき癒て うしと見し\世のこひしさの いとまさりけり\假名垣魯文述
  題傳來之藥 家よりも 古く持たる 請取哉\九世三升[夜雨庵]
牛の寐た ほとよく賣し 黒牡丹\白猿〈市川|正〔猿〕〉
実になれや 牡丹の畑の 種瓢\門弟瓢蔵[瓢〔齋〕]

かのやく御用ごよう御方おかたは京橋區三十間堀三丁目十一番地くすのきかたびらや瓢蔵へうざうあてにしはがき御遣し被下度早速さつそく御届おとゝけ候上候郵税いうぜい返戻かへし可致候也

【四七】(製版 19.9×26糎)

逢景生情 海内奇才 抒懐諷諭 千秋名士 近松翁賛 〈福地|源印〉

松の操正しきに糸竹の節こめて梅か枝に来なく鴬のうたひ物古 きより新たなる御代に傳はりて殊に人の感を起すの妙聲 花の一に算ふものハそも/\近松翁の筆のすさひ凡ならぬ故 にこそあれ茲に翁か宗家と聞えし山鳥の尾の御門なる梢高き椙 の杜氏のうからなりけるさゝ原某といへる人筆掛の正歳日經て高く 登り硯の海深くあさりて著述の才ありそのかみ巣林翁かそゝ ろにものされし水莖の跡言たすゝに踏まむこと好めはとて幸 ひ宗家の枝葉近松の名としふりて落葉の中にうつもれむを惜 みあへる折柄なれはうからやから打集ひこれを二代の門左衛門とハ なしけるなり廃るを起し絶たるを継道のみかハ此ハこれ 正しき血統なるをやそか名ひろめの雅の 筵ひらける御代のいさほしと愛もてはやし 集ひ来ませつとはせたまへや
 明けて治る廾とせ餘りひとゝせの初冬

かな垣のあるし魯文    
近松門左衛門浄書\[印][印] 
如空暁齋図〈如|空〉                


【四八】(製版 18.6×25.7糎)

[游戯]採影生神\為北庭老人之\吟 團洲[〈堀越|主人〉]

さうぐわしんせまもの心理しんりじゆつなり北庭きたには凡智ほんち冩真しやしん みづか下手へたしやうして虚飾きよしよくえいもとめ然共しかれども所謂いはゆる草畫さうぐわしんうつすかごと嗚呼あゝ 富士ふじたい筑波つくば山人さんじんわが日本につほん一眼いちがんなるかな

呑湖海門佛骨庵主猫々道人魯文記 

北庭きたにはうし公園こうえん紅葉もみぢあきゆきさういろかへぬ竹川町たけかはちやう新居しんきようつせりさいは花月くわげつたかどのとな嗚呼あゝ春秋しゆんじうとみたるひとかな 旧來きうらい友垣ともがき諸君しよくんの御光來くわうらいねがふとたけすゞめさへづるものハ

新聞歌舞伎の兩道をはしる\蒸氣車の鐡道前 久保田彦作

  新居御披露

年來御愛顧を蒙り営業仕候故難有奉存候此度轉居 仕候に付開業當日御賑々敷御光來之程偏奉希上候以上

新橋竹川町二十一番地   
北庭筑波

 明治十五年四月四日開業

【四九】(製版 16.2×21.4糎)

    染物そめものるい廣告くわうこく

加茂かもがはみづたえずしてしかもとみづにあらず西京さいきやうほか無類む るいある染物そめものるいすいみやくひらくるときかぜしたがいま東京とうけいみづにもかなそめあがりのしん発明はつめい西にしひがし くらべをとらぬいろこいむらさきあけをもうばふゆるしの色合いろあひ 友染いうぜんさらこまきより無地むぢ紋附もんつきいろかえ常磐ときは かきはの青々あほ/\しき四季しきさかりのはな模様もやうそのほかいろ ぬきしみぬきとうきずあるたまみがあげふるきをそゝいきばりもとしやうそこなことなく がはながれつた西にしひがし京清きやうせい製工せいこう完美くわんび試験おためしありて従来じやうらいしに賣捌うりさばき小町こまち べに諸共もろともにうつくしきしろちやうくわうらい注文ちゆうもんと いろ/\取混とりまぜこいねが主個あるじかはりて

假名垣魯文しるす◇  
東京神田區美土代町四丁目\四番地          
京清 [加茂川] 

五月十八日開業\當日麁景呈上仕候

【五〇】(活版 17.5×23.5糎 字間ベタ)
    〈五大洲だいしう新發明しんはつめい一日いちにちやとひ重寶ちやうはうをとこ

私儀わたくしこのたび諸方しよはうさまにやとはれの業体げふたいあひはじめ候につき條々でう/\おんよみ下され候うへ にてこれじつなら成程なるほど至極し ごく重寶ちやうはうをとこなりと御ためしの上御用ご やうむきあふせつけられくださるべく候

本籍ほんせき芝區しばく 芝濱松しばはままつちやう 丁目拾壹番地ばんち 實兄方同居      
藝名げいめい東京あづま蔦藏つたざう綽號あだな浪花なには蠻國ばんこく小出謹三郎藤原ふぢはらの好文よしぶみ 

横濱よこはまそのほか居留きよりう外國人くわいこくじん の御使者つかひ には英語えいご にて通辯つうべん仕候

諸商業しよしやうげふ開店かいてん賣出うりだ 廣告ひろめ のひき札くばり一日一万げん

貸借かしかり原被げんひ どちらなりとも依頼たのみをほ辨當べんたう代言だいげんをもあひつと

移轉ひきこしすゝはら大工だいく 左官さくわんそのほか何事なにごとなりとも御手傳て つだ

祝儀しうぎ 不しうぎのくばものならびにし らせのはしり使つか

諸社しよしや諸山しよざんへのご 代参だいさんお 隨従と も せつくるまの後押あとお 

取退とりの 無盡むじんの御代くじ十の七八ハかならずあたり申候

○ペンキぬ 經師きやうじや 眞似ま ね 可也か なりに仕候

いたばめのぶッけ建具たてぐ るいのそんじをつくろひつちならし仕候

○人のいやがりこわがるところ山みち野原の はら夜道よ みち使つか何時なんとき成共

婚禮こんれいはしわたし喧嘩けんくわ口論こうろん和談わ だん掛合かけあひもちとばかり

野暮や ぼ 頑固ぐわんこむ 分別ふんべつしまつにゆかぬ道樂者だうらくものわかり すく説諭ときさと

○おもふ女に思はれる傳授でんじゆ思ふをとこ み まかし て大丈夫の法

劔突けんつく(しかられいやがられ)さらいとひ不申候事

○ちからハ一人半足はんあしハ日に二十里をゆ 草臥くたびれ不申候

學問がくもん實語じつご けう童子教どうじきやう 手跡しゆせき通用つうよう手紙て がみぐらひよみかき仕候

石川島いしかはじまおよび監獄かんごくちう犯罪はんざいにんとう差入さしいれもの并に警察けいさつしよ拘留かうりうにん罰金ばつきん衣類い るゐ持参じ さんさ わた放免はうめんむか

○坊チヤンがた相手あいて おもちや細工ざいく手際てぎわながらなんでも仕候

たゞご しゆえんの御せきへおまねき被下候へバ以前い ぜん俳優やくしやも五六ねんあひつとめ候うでにお ぼえこれあり候へバ端唄は うた手おどりハ申におよばす曖昧あいまいながらじや段物だんもの所作しよさ 仕 りたつぷり御座興ざきようをそえ隨分ずゐぶんおわらひにそなへ申候以上

 明治二十一年一月より

御 雇 賃  御 隨 意 
   〈毎日まいにち出張でばり〉  京橋區きやうばしく新富しんとみ町七丁目七番地     
ぶつ こつ あん  

【五一】(活版 16.3×21糎 飾枠草色刷 字間二分アキ)

 めかりずしかいぎやう ご披露 ひらう

應需 妙々道人魯文述◇ 

ながしんかんうつし。産神うぶすなまつこのより。 ねり樂車だしにんぎやう ら。おもまをけし和布刈めかり まへせいゆめはたちやう かの かんたんひとずしいし まくらおもきにつけて。淺草あさくさならぬ朝市あさいちゆふ盤臺はんだい 鮮魚せんぎよえらみ。おにきんの一つぶえりも。にぎげん なれ營業なりはひ新舗しんみせながらもこの土地とちに。めい ひさし きおなじみを。あてにならぶる矢羽根やばねくまざゝ。ひ きハはづさじかうじよの。ふるきを さり あたらしく。うつれバ かはほしかい ぎやう武張ぶばつためいかどとれて。さら圓器まるみもりあぐる。その盛大せいだいおん引立ひきたてを。ぢかすぢいと 諸共もろとも。おくちをかけてたまはらバ。追々おひ/\すいしむ土地とちがらひらけしまいはん しやうに。あやかる芽出めだ しのめかりずしまへ勿論もちろん運動うんどうの。おすゞみかた /\風入かざいりよきせまながらのしきへ。一寸ちよつとはいをん 立寄たちよりにハ。 つくろしん有合ありあひ さかな 調進てうしんさしあげたてまつれバ。 これはり初物はつものと。仰 合あふせあはされにぎ/\ ○ ○ ○ ○光 來くわうらい こひねが

 來七月廿四日廿五日

神田旅籠町二丁目七番地    
めかりずし 星 野 再 拜 

   開業麁景呈上仕候

【五二】(活版 16.5×20.9糎 飾枠 字間二分アキ)

    披露ひろう

久松ひさまつ建築けんちくちかきにあり。中嶋なかじま興行かうぎやううしろたえず。 みなみ葮町よしちやうはなかほきた両國りやうごくやなぎこしひと入江いりえ濱町はまちやうが し 往來ゆきゝ くんじふ上地しやうちしめて。さき活動かつどうおん料理りやうり開業かいげふいたし候ところせんぎよくわつはう同家どうけ ひとしく。俎板まないたおんとり はやしに。煮汁にしるのあつき愛顧ひいきかふむりしが。都合つがふより廢業はいげふなし。しばら他業たげふたくせしに。ある得意とくい  すゝめに。ふたゝ庖丁はうてうさびぎ。古巣ふるすかへ新參しんざんめかせ ど。加減かげんかねおぼえの本業ほんげふはる支度したく膳部ぜんぶ そなへ。 今年ことし うちより新年しんねんに。ひきめぐらしゝ準繩飾しめかざり。七五 三のかたきをやわらげ。七種なゝくさなづな庖丁はうてう俎板まないたおき遠土とほどのと りざかな。すととん/\の即席そくせき按拝あんばい念入ねんいれ差上さしあげたてまつ れバ。以前いぜんおん寄附よりつけのお知己なじみ諸君さまがた仰合おほせあはされ。としつぐ來陽らいやうの。としかしら絶間たえま もあらず。ご 入來じふらいほどこひねが

      需 應

猫々道人いろは翁代述  
蠣濱橋南詰 魚 十 

 當十二月\廿八日開店

【五三】(活版 17.5×25.8糎 字間二分アキ)
   酒店開業廣告

はなう かれつき うそぶ たのしきにつ うきこれの めバ うれひをはらたま掃木はゞき な 支那し な よりつたわがおほ皇國み くにかみ よ よりやわらのかめ釀造じやうざうあるハひと天性てんせいさけこのむを 本分もちまへとするものかされバ當店たうてん たくわさけ本家ほんけ 本塲ほんば 西さい きやうせいにてもとより きやうみづきよ本地ほんち 産 出さんしゆつするさけ池田いけだ  伊丹い たみまさるもおほ西部さいぶ  あがたこのさけ美味び み し ものあまね けれど東京とうけいじんなだ しやう攝州せつしうさんのみ別品べつひんとおぼすに よ 這般こたび京都きやうと本家ほんけ より當地たうち はな諸共もろともひら支店で みせうりぞめかけいくひさしくもこのさけ東京とうけい諸君しよくんはらはちはい上戸じやうごくち入船いりふねつみ に たるうり小賣こ うりろんせずせい りやう無二む に えら廉價れんか もつ差上さしあげせバ開業かいげふ當日たうじつよりつき涌泉いづみ鴨川かもがはながたえせず滔々とう/\お 購求もとめほど  ひとへねが たてまつる と一ぱい機嫌き げんふでと るハ上戸じやうご下戸げ こ なかすみをくむ

妙々道人なり   

   直  段

 一 銘酒橋立 〈壹樽ニ付金五圓五十錢|壹升ニ付金貳 拾錢〉

 一 仝 朝日 〈壹樽ニ付金四圓五十錢|壹升ニ付金拾 六錢〉

 一 最上美淋  壹升付金貳拾五錢

 〈野田|銚子〉醤油  良品廉價差上可申候

   四月〈廿一日|廿二日〉開店付麁景呈上

日本橋區浪花町十四番地           
京都釀造元支店橋本富之助白    


【五四】(製版 19.1×26.6糎)

  貸席かしせきおん料理れうり 開業かいげふ禀告りんこく

香爐峰かうろ ほうもとゐ 草堂さうだうたつい へる樂天らくてん風雅ふうが でも なく家屋か をく山間さんかんあ れ ども虎溪こ けい三笑さんせう洒落しやれ でも なく空氣くうき 流通りうつう高燥かうさう良地りやうち見立みたて吾嬬あがつまは や 古趾こ し 名高な たか湯島ゆしまだいふもとめぐ老鶯おひうぐいすす つくころつま ごひたにくぼきをならし五百余坪よつぼ庭園ていえんちう新規あらた まうけし樓上ろうしやう樓下ろうか 一百 よ でう廣間ひろま よりそのた 小室せうしつ二三を そな廊下らうか かよ浴室よくしつにハ身体みうちてきいづみわかふる玉浦たまうら礒邉いそべ つゞとほ房總ばうそううみ眺望のぞみ佳景か けい東都とうと 比類たぐひなく 松栢しようはく凉風りやうふうおく香草かうさう地邉ち へんめぐ運動うんどう自在じ ざい廣場ひろば 避暑ひ しよ貸席かしせき割烹くわつぱう按配あんばい すべ貴客き かくあふせにまか調進てうしんなしたてまつれバ開業かいげふ當日たうじつより御勉強ごべんきやう御心みこゝろ なぐさめ四折節をりふしご 散歩さんぽ ご 來臨らいりんほど希奉ねぎたてまつ

 もとめおうじてむかし此里このさと戲作け さくふでとりそ めし  
鈍亭   假名垣魯文述  
五月九日開業
湯島\妻戀谷  いそへ亭[印] 
應需  素岳書[印] 
掲載資料一覧 (凡例及び【一】〜【三二】は前号までに掲載)
【三三】菓子「舩橋屋藤原織江」国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)初編巻二 83上
【三四】あなご「小林」    国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 23左上
【三五】蕎麦「寝覺庵」    国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 25左
【三六】蕎麦「清風亭」    国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 26右
【三七】菓子「亀屋和泉」   国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 30左
【三八】書画展(昇月樓)    国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編} 33右
【三九】書画会(万八樓)    国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 34左上
【四〇】遊覧会(井生村樓)   国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 34左下
【四一】菅野順講(竹屋)    国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 35右
【四二】貸席「近源亭」    国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 39全
【四三】芝居茶屋「八重扇子屋」国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 40左上
【四四】待合「成田屋」    国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 44左
【四五】待合「愛森亭」    国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 48左
【四六】薬品「黒牡丹」    国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 55左
【四七】名弘め「近松門左衛門」国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 65右
【四八】写真「北庭筑波」   国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 65左
【四九】染物「京清」     国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 66右
【五〇】重宝男「佛骨庵」   国会「広告研究資料」(寄別三―五―一―四)三編 67右
【五一】すし「めかり鮓」   国会「明治時代広告研究資料」(寄別三―五―一―二) 14右
【五二】割烹「魚十」     国会「明治時代広告研究資料」(寄別三―五―一―二) 17左
【五三】酒店「橋本富之助」  国会「明治時代広告研究資料」(寄別三―五―一―二) 21左
【五四】貸席「いそべ亭」   国会「明治時代広告研究資料」(寄別三―五―一―二) 27右

付記 本研究はJSPS科研費JP17K02460の助成を受けたものです。

#「魯文の報条(三)
#「大妻国文」第50号 (2019年3月31日)所収
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#               大妻女子大学文学部 高木 元  tgen@fumikura.net
# Permission is granted to copy, distribute and/or modify this document under the terms of the GNU
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